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行き場のない復讐心

もうかなり前ですが、2回目に観たオイルは泣けました。
とくに、ラスト・・・カーテンコールは4回ぐらいないと元に戻れません。
オイルは、またそのうち観に行きますね。

いま、起きている事件を観ても、
我が子を失った親は間違いなく犯人に怒りを抱いていると思う。
戦争と違って対象がはっきりしている分、犯人を殺したいほど憎んでると思う。
これを復讐心と呼ぶのだろうか。
犯人が子どもだった場合、犯人が悔い改めるさまを、
大切な人を失った人は知ることができない。
復讐心は行き場がない。

拉致被害者の家族の方も、某国の犯罪であることがわかっていながら、
復讐することができない。我が子を奪われた悲しみの持って行き場がない。

たとえ、復讐することができたとしても、
奪われたものは戻って来ない。決して癒されない。
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冨士のストレートな疑問

この芝居はすごくストレートです。
富士のその純粋な疑問、「復讐はどうしてしてはいけないの?」
この言葉は、訳知り顔の大人が発したのではダメです。
「復讐したい・・・・・でも、世の中は、そういうわけにはいかない」
そんな、世の中をわかったような気分は絶対に出してはいけない。
疑問もストレートなら、その答えもストレートなのです。

富士はその悪夢の中では、
ずっと「復讐心」を一切のほかの都合に囚われずにもち続けていなければならない。
ストレートだからこそ、このテーマが生きてくるんです。
復讐心を支えているのは怨念じゃなくて、疑問なんです。

私は、富士さんの復讐心を最初に観たとき、とても浅く感じました。
でも、富士が背負った復讐心は、単に弟を奪われた悲しみだけでなく、
彼女の耳に残った命を奪われた多くの人の無念、
翌日その地を歩いた多くの人の嘆きだったのだと悟ったとき、
この復讐心は、個人的なドロドロとした怨念では
いけないんだと思いました。

だから、憑かれている富士から、
残された者の恨み辛みよりも、
神のような清冽さを感じるのだと、
だから、富士は松たか子でなければならなかったのだと思いました。

松たか子には“毒”がない。
それが、彼女の最大の魅力です。
それは、役の幅が制限される一因とは思いますが、
私は、彼女を毒のある役で使う必要は、まったくないと思います。
彼女の“清冽さ”は、それだけ稀有なのです。

煽りのこと(ネタバレ)

1回目に観たあとにいろいろ考えていて
ふと思った「煽り」というもう一つのキーワード。

「復讐」と「忘却」だけでなく、
「煽り」のことも語られなければならない気がします。
「煽り」がなければ個々の「復讐心」は
集団の行動へと変化しないと思うのです。

はじめてオイルを観たとき、
富士が偽者預言者である必要がどこにあったんだろう?
と腑に落ちなかったのですが、
某サイトである人が言っていました。
イスラム遊牧民の中には元々「血の復讐」という言葉があって、
復讐によって部族を維持してきたのだと。
つまり集団の自衛のための復讐です。

私はこの「集団の自衛」という言葉で、
支配者による復讐心の利用を思い出しました。
“Remember Pearl Harbor!” “Remember Twin Tower!”
という言葉で民衆を煽る、「煽り」を思い出しました。

支配者は全体の存続を考える。
ここでいう全体の存続は、世界の平和ではなくて自国の繁栄。
日本にもしミサイルが打ち込まれて、多くの人が亡くなったとしても
アメリカ(政府)はその事実をカードとして使うだけで、
心の底から嘆き悲しみはしないと思います。

マホ女とは異なり、富士には「集団を自衛」するという
支配者の意識はなかったと思うけれど、
人の心を利用しようとした扇動者ではあるんだよね。
復讐の正当性を説いて、人々の復讐心を煽り、復讐の実行可能性を高め、
民衆の士気を鼓舞するためにオイルの掘り当てを捏造したんだから。

個人の復讐心が復讐行動に変化するためには、
何かの契機が必要で、
集団が復讐を実行(報復戦争)するために、
復讐心に火をつける煽りが行われる。
でも、その煽りは決して真理ではなく、
集団の都合で何とでも捏造されるのです。

煽られないこと、風潮や流行にのらず、
自分で先を予測・判断できる能力を身につけること。
自分自身の判断で立っていることのできる人がどれだけいるのでしょう。
集団心理は恐ろしいですね。個人の冷静な判断能力を奪い去ってしまう。
煽動者富士、簡単に日本を売り飛ばすのに同意した闇市での民衆、
オイルが見つかったら簡単に売り飛ばすのをやめる民衆、
そして「あなたを今、この土地でニセの預言者だなんて言ってみろ・・・」
と言ったヤミイチ

「煽り」は、もともとは違う考えの人たちの集まりを一つの目的にまとめる。
集団をまとめるのには、みんなの「敵」をつくるのが一番簡単なんでしょうねえ。
なんだか、話がずれてきた上にまとまらなくない(^^;

ただ、富士は「飛行機もオイルも幻でいい」と言っていました。
だから、復讐行為によって起こる「復讐の連鎖」よりも、
復讐心を昇華させることに重きをおいてる・・・と思いたいです。

富士は背負ってしまった死者の悲しみと
愛する人を奪われた悲しみの持って行き場を求めた。
「復讐したいな」
だけど、復讐行為が「復讐の連鎖」を生み出すこともわかっていた。
だからこそ、最後に神に助けを求めたのだと思ってます。

私、~home~のここの歌詞すごく好きなんです。
「あなたがいる それだけで 命の灯りがともる 
あなたといる この地球で」

復讐法の意味

ある人が復讐法の意味(解釈の1つにすぎないですけど)
を教えてくれました。

犯罪に対して、個人が等価の復讐をしようとすると、
それは犯罪となってしまいますよね。
だから、犯罪に対する復讐は法律が等価と思われる刑罰を代わりに執行する。

「目には目を」「歯には歯を」という等価の復讐法は、
実はリンチ(私刑)を禁止する法律だったのだというんです。
目を1個つぶされたのなら、仕返しでつぶすのは
両目ではなく、片目だけにしておきなさい。

人間の感情が増幅され、復讐しすぎることによって、
「復讐の連鎖」が起こることを防止するのが
「復讐法」の本来の意味だったというんです。
刑罰というのは、被害者側に立ってみれば、
復讐心の受け皿でもあるんですよね。

「原爆2つ」と「飛行機2機」を等価とみなせるかは
わかりませんが、納得できなくもないです。
しかし、それが等価であると相手がみなし、
等価以上の復讐はいけないと考えていない限り、
「復讐の連鎖」は起こります。
さらに「煽り」により民衆に火がつけられたなら、
等価以上の復讐を行いはじめるかも知れない。

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